「看護師の職場といえば病院」というイメージは、いまも大きくは間違っていません。ただ、統計を見ると景色は少しずつ変わってきています。厚生労働省の令和6年衛生行政報告例によると、就業看護師は全国で1,363,142人。このうち病院で働く人は65.7%で、残りの約3分の1は診療所・介護施設・訪問看護ステーションなど、病院の外で働いています。
この記事では、就業場所ごとの人数と割合、雇用形態の内訳を公的統計で確認しながら、「病院以外」という選択肢が実際どのくらいの広がりを持っているのかを整理します。いま病院で働いていて少し疲れている人も、ブランクからの復帰先を考えている人も、まずは全体の地図を眺めるところから始めてみてください。
全体像:就業看護師136万人、病院は65.7%
令和6年衛生行政報告例(2024年末時点)によると、就業看護師の総数は1,363,142人で、前回調査から3.9%増えました。就業場所の内訳は、病院が895,944人(65.7%)で最多。次いで診療所が194,665人(14.3%)、介護保険施設等が107,984人(7.9%)、訪問看護ステーションが91,022人(6.7%)と続きます。
病院と診療所を合わせた「医療機関」で8割という構造は保たれつつも、介護・在宅の領域で働く看護師が着実に積み上がっているのが現在地です。社会福祉施設(28,093人)、市区町村(8,035人)、企業などの事業所(5,879人)といった働き先もあり、選択肢の裾野は統計上も広がっています。
就業看護師の総数
1,363,142人
2024年末時点。前回調査から3.9%増
病院で働く看護師の割合
65.7%
895,944人。診療所14.3%を合わせて医療機関で8割
訪問看護ステーションで働く看護師
91,022人(6.7%)
介護保険施設等は107,984人(7.9%)
「病院の外」の内訳:在宅・介護・企業行政
病院以外の約46万人の内訳を見ると、最も大きいのは診療所(クリニック)の約19万人です。外来中心で夜勤がない職場が多く、子育てや体力面の事情と両立しやすい働き方として定着しています。次に大きいのが介護保険施設等の約11万人と訪問看護ステーションの約9万人で、この2つは高齢化とともに存在感を増している領域です。
人数としては少ないものの、保健所・都道府県・市区町村で働く行政保健分野が計約1.1万人、企業などの事業所で働く看護師が5,879人います。事業所勤務は全体の0.4%ほどで、求人も多くはありませんが、「臨床から少し離れて健康を支える側にまわる」道が統計上も確かに存在することは、選択肢を考えるうえで心強い事実です。
雇用形態:正規81.8%、派遣は0.4%
雇用形態の内訳は、正規雇用が81.8%(1,115,543人)、非正規雇用が17.8%(242,085人)、派遣が0.4%(5,514人)です。看護師は全体として正規雇用の比率が高い職種で、資格を軸にした雇用の安定性がうかがえます。
一方で約24万人が非正規で働いており、パート・非常勤という形で医療とつながり続けている人も少なくありません。派遣が0.4%と少ないのは、医療機関への派遣が法令上原則制限されているためです(紹介予定派遣などの例外あり)。「派遣でゆるく働く」選択肢は介護施設や健診などに限られる、という制度上の前提は知っておくと役立ちます。
正規雇用の割合
81.8%
非正規17.8%・派遣0.4%。医療機関への派遣は法令上原則制限
この記事のまとめ
就業看護師136万人のうち病院は65.7%。3人に1人はすでに病院の外で働いており、「病院を離れる」ことは統計的には珍しい選択ではない。
病院外の中心は診療所(14.3%)・介護施設(7.9%)・訪問看護(6.7%)。高齢化を背景に在宅・介護領域の比重は増え続けている。
正規雇用81.8%と雇用は安定的。派遣は0.4%にとどまり、医療機関への派遣は原則制限があるため、働き方を変えたい場合は職場タイプごとの制度の違いも確認したい。
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