コロナ禍を経て、看護職員の処遇改善は国の政策課題になりました。2022年の補助金事業に始まり、診療報酬に「看護職員処遇改善評価料」や「ベースアップ評価料」という仕組みが組み込まれ、2026年度(令和8年度)の改定でも拡充が続いています。ただ、制度の名前が難しく、自分の給料とどうつながるのか分かりにくいのも正直なところです。
この記事では、2022年からの処遇改善の流れを時系列で追い、それぞれの制度が「誰の・何を・どのくらい」引き上げる仕組みなのかを、日本看護協会と厚生労働省の資料に基づいて整理します。勤務先が対象かどうかで実感は変わるため、給与明細や職場への確認ポイントも添えました。
始まり:2022年、月4,000円の補助金から評価料へ
処遇改善の第一歩は2022年2月〜9月の「看護職員等処遇改善事業」でした。国の補助金により、対象医療機関の看護職員の収入を月額4,000円程度引き上げるものです。そして2022年10月、この仕組みは診療報酬の「看護職員処遇改善評価料」に引き継がれ、収入を3%程度(月額12,000円相当)引き上げる恒久的な制度になりました。
重要なのは、この評価料の対象が救急医療などの要件を満たす一部の医療機関に限られることです。同じ看護師でも、勤務先によって対象かどうかが分かれます。自分の職場が算定しているかは、給与明細の手当項目や事務部門への確認で確かめられます。
看護職員処遇改善評価料による引き上げ
収入3%程度(月額12,000円相当)
2022年10月に診療報酬へ恒久化。前段の補助金事業(2022年2〜9月)は月額4,000円程度
令和6年度改定:ベースアップ評価料で「ベア2.5%」を後押し
2024年度(令和6年度)の診療報酬改定は、全体の改定率+0.88%のうち+0.61%を「看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の処遇改善分」に充てるという、賃上げに重心を置いた改定でした。この財源で新設されたのが「ベースアップ評価料」です。
ベースアップ評価料は、令和6年度に+2.5%、令和7年度に+2.0%のベア(基本給等の引き上げ)を実現することを目標に、外来・入院・訪問看護のそれぞれで算定できる点数を設けた仕組みです。対象職種には看護師・准看護師・保健師・助産師・看護補助者が明記されており、基本給または毎月の手当の引き上げが原則とされています。一時金でなく「毎月の給与の底上げ」を狙った設計です。
令和6年度診療報酬改定の処遇改善分
+0.61%
改定率全体+0.88%のうち医療関係職種の処遇改善に充当
ベースアップ評価料の賃上げ目標
令和6年度+2.5%・令和7年度+2.0%
基本給または毎月の手当の引き上げが原則。看護師・准看護師・看護補助者等が対象
令和8年度改定:増額と「夜勤手当への充当」解禁
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、さらなる賃上げに向けてベースアップ評価料が増額されました。あわせて、看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料による収入を夜勤手当の増額に充てることが可能になっています。夜勤負担の重さに賃金で報いる道が制度上開かれたことは、夜勤を担う看護師にとって意味のある変化です。
一方で、これらの評価料は勤務先が届出・算定して初めて給与に反映されるものです。医療機関ごとに配分方法の裁量もあるため、「制度はあるのに実感がない」という声が生まれやすい構造でもあります。転職や面談の場面では、処遇改善評価料・ベースアップ評価料をどう配分しているかを確認項目に加えると、職場の姿勢を測るひとつの物差しになります。
令和8年度改定での見直し
評価料の増額+夜勤手当への充当が可能に
看護職員処遇改善評価料・ベースアップ評価料による収入を夜勤手当の増額に充当できるようになった
この記事のまとめ
処遇改善は2022年の月4,000円の補助金から始まり、評価料による月12,000円相当の引き上げ、ベア+2.5%/+2.0%目標のベースアップ評価料へと段階的に拡充されてきた。
令和8年度改定では評価料が増額され、夜勤手当への充当も可能に。夜勤負担に賃金で報いる仕組みが制度上整いつつある。
ただし評価料は勤務先の届出・算定と配分方法しだいで実感が変わる。給与明細の手当項目を確かめ、転職時には評価料の配分方針を確認項目に加えたい。
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