看護師の給料は「高いのか、安いのか」。答えが人によって食い違うのは、平均の裏にある構造が見えにくいからです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づく看護師の平均年収は524万7,200円ですが、この数字には夜勤の多い病棟勤務も日勤だけのクリニック勤務も混ざっています。
この記事では、日本看護協会の実態調査に基づく職場タイプ別の年収、夜勤手当の相場、地域差という3つの切り口で給料の構造を整理します。数字はあくまで平均や試算であり、個々の職場で差があることを前提に、「自分の場合はどうなりそうか」を考える材料として使ってください。
全体の平均:年収524万7,200円という基準線
まず基準線として、厚生労働省の賃金構造基本統計調査に基づく看護師の平均年収は524万7,200円です。地域差も大きく、都道府県別では東京の567万5,000円に対して高知は434万8,300円と、約133万円の開きがあります。同じ資格・同じ仕事でも、働く場所によって水準が変わるのが実態です。
地域差は生活費の差と重なる部分もあるため、単純に「高い県へ行けば得」とは言えません。ただ、地方で年収を上げたい場合に都市部の相場を知っておくことは、条件交渉や求人比較の物差しとして役に立ちます。
看護師の平均年収
524万7,200円
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく数値
都道府県別の年収差
約133万円
東京567万5,000円に対し高知434万8,300円
職場タイプ別:病院554.6万円、訪問看護494.8万円
日本看護協会の2025年看護職員実態調査に基づく試算(月収平均×14ヶ月換算)では、職場タイプ別の年収は病院が554万6,000円で最も高く、診療所519万5,000円、介護・福祉事業所510万2,000円、訪問看護ステーション494万8,000円と続きます。病院が高いのは、夜勤手当を含む月収が反映されているためです。
なお、求人票ベースの集計ではもう少し低い水準が出ることもあります。求人ボックスの集計(2024年3月時点)を引くレバウェル看護の記事では、クリニックの平均年収は427万8,826円、訪問看護は457万9,256円でした。実態調査(在籍者の平均)と求人統計(募集時の条件)では性質が違うため、転職時の提示額は求人統計側に近くなることが多い、と押さえておくと現実的です。
病院で働く看護師の年収
554万6,000円
日本看護協会2025年実態調査ベースの試算(月収×14ヶ月換算)
訪問看護ステーションの年収
494万8,000円
同試算で診療所519万5,000円・介護福祉事業所510万2,000円
求人票ベースのクリニック平均年収
427万8,826円
求人ボックス集計(2024年3月時点)。訪問看護は457万9,256円
夜勤手当の構造:二交替1回11,368円が年収差の正体
職場タイプ別の年収差の多くは、夜勤手当で説明できます。日本看護協会の2023年看護職員実態調査によると、夜勤手当の平均は二交替制の夜勤1回で11,368円、三交替制では準夜勤4,234円・深夜勤5,199円です。月4回の二交替夜勤なら手当だけで月4.5万円前後、年間で50万円を超える計算になります。
つまり「夜勤をやめると年収が下がる」のは、基本給が下がるというより夜勤手当が消えるため、という構造です。逆に言えば、夜勤なしの職場へ移るときは「夜勤手当ぶんの下げ幅を、基本給や通勤・体調面の改善でどこまで取り返せるか」という見方で求人を比較すると、判断がしやすくなります。
二交替制の夜勤手当(1回あたり平均)
11,368円
三交替制は準夜勤4,234円・深夜勤5,199円(2023年調査)
この記事のまとめ
看護師の平均年収は約525万円だが、職場タイプで差がある。病院554.6万円が最も高く、その差の主因は夜勤手当(二交替1回平均11,368円)。
在籍者の実態調査と求人票ベースの統計では水準が異なる。転職時の提示額は求人統計に近くなりやすいので、両方を物差しに持っておくと落ち着いて比較できる。
都道府県で約133万円の年収差がある。地域・夜勤・職場タイプの3変数で「自分の場合」を試算してから求人を見ると、条件のよしあしを判断しやすい。
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